「一歩差がつく美しさ」を追求し続ける好奇心と探究心。
日本女性としての品格や美意識を高められる活動をしていきたい。

匠STORY

着付け師・和装プロデューサー | 金井 夕子

プロフィール

金井 夕子 (かない ゆうこ)

着付け師・和装プロデューサー

株式会社和装美 代表取締役
一般社団法人和装美やまとなでしこ協会 代表理事
青山ブライダルサロン なでしこスタイル 代表

2000年より和装を学び始め、プロ着付け師科、着物撮影スタイリスト科を卒業。和装雑誌やTV広告などメディア撮影の第一線で活躍する一方、和装和婚の伝統継承を大切にするブライダル事業及び企業イベントのプロデュースを行う和装プロデューサーとして活躍。2017年に一般社団法人和装美やまとなでしこ協会を設立し、着付け師の育成にも力をいれている。

<企業・メディア実績>
全日空和装イベント, コーセーCM, かねふくCM, 乃木坂48TV収録, the cool Japan style ホテル雅叙園東京 和装講座,他多数。

 STORY

https://www.youtube.com/watch?v=R-jTfE463IA

-着付師を目指した理由は?きっかけとなる出来事があれば教えてください

はい、今でもよく覚えています。ある日電車に乗っていると、着物を着た女性二人が乗り込んできたんです。一人はとても綺麗に着こなしていらしたんですけど、もう一人の方が随分と着崩れていらしたんですね。それがすごく気になって・・・。着物って格式高いイメージがあって、どんな着物姿も当然「綺麗なもの」という思い込みがあったんです。だからこそ美しく映らなかったことが衝撃的で。たまたま二人の女性がいたから比較してしまったのだと思いますが、どうしてこんなにも美しさに差が出るのだろう?どうやったら着物を美しく着れるのだろう?っていう純粋な興味が湧いたんです。自分の中の「美意識」を掻き立てられた瞬間でしたね。

-印象に残る出来事だったのですね。着物に目覚めたのはおいくつの時ですか?

実際に着付けを習いに行き始めたのは22歳の時ですね。先ほど申し上げた出来事が起きたのは、その2年前くらい前で20歳の頃です。まずは自分で着れるようになってみようという興味本位から全ては始まりました。

-実際に習ってみて、何か発見はありましたか?

ええ、ありました。着付けを習っても、「ただ着れるだけ」では美しく見えないということに気がついたんですね。大事なのは、綺麗に着るためのポイントを押さえること。そうでないと、太って見えたり、すぐに着崩れてしまったりして、何かずれた感じがするんです。そういう感覚的なものを習っていく中で自ら発見していって、洋服を綺麗に着こなしたいように、着物を着る時にも自分の中で「美しい」と思える姿を目指したいと思い始めました。思えば、ただ着付けを習得するのではなく常に「どうすれば綺麗に着られるか?」「どうやったら美しさに差がつくのか?」という視点に最初からこだわっていたんですね。

-着物を仕事にしようという意識を持ち始めるまでには、どのような経緯があったのでしょうか?

着物を自分で着れるようになった頃、別のところで着物を着せてもらったときに仕上がりに差が出たんですね。ここでもまた「なぜだろう?」という疑問を持ったんです。着物って洋服と違って、どれも同じ形をしているんですよね。浴衣であっても訪問着であっても、元の形は同じなんです。それなのに、着せる人によって仕上がりが全然違ってくるなんて不思議だなって思いました。洋服より準備もたくさんあって手間がかかる分、どうせなら綺麗に着たい!自分も人に着せてみたい!という純粋な好奇心と探究心が今まで以上に湧いてきて、どんどん深く知りたくなったんです。そのあたりから「仕事」にしていくことを意識するようになったと思います。

― 人一倍好奇心と探究心が強いからこそ、美を追求する意識も高いのですね。
着付師を目指して、まずどんなことから始めたんですか?

「人に着せる」という視点で、改めて着付けを習いに行きました。そこで、着物には必ず写真が携わってくることに気づいたんです。結婚式、成人式など、特別な日に着物を着る方が多くて、着物と写真や映像はワンセットなんです。だからこそ、どうやったらしなやかに綺麗に写ることができるのか、その時々での見え方や立ち振る舞い方についても知識を深める必要があると分かりました。また、その人のライフスタイルに合わせることや体の特徴を考慮すること、なるべく楽に感じる着心地など、「着せるの先」を見据えた視点が必要だとも感じたんです。そういうことを全部学んで初めて人に教えることができるんだなと。その感覚は、実際にいろんな現場に出て、仕事の経験値を上げる中で得たものでした。

―「着せるの先」の視点。そうやって何でも探究心をもって学んでこられたからこそ、今の金井さんのスタイルがあるんですね。その後すぐ、現在の和装サロンや社団法人を開かれたのですか?

いえ、最初は結婚式場や撮影関係の会社でフリーランスとして仕事をもらい働きました。その中で、着物の接客や和裁(お直しなど)も経験し習得しました。とにかく聞かれたことには何でも応えられるようにと、あらゆる知識を吸収していったおかげで「身近にいる着物の専門家」というポジションを得て、安心感を持っていただけるようになったと思います。そういったフリーランスの経験を積んで会社を起こしました。

―勉強熱心なまさに職人肌ですね。なぜ、会社を起こそうと思ったのですか?

着物について困っている方が思いのほか多かったので、着物全般の要望に応えられる専門の会社を作る必要性を感じたからです。例えば、お客様が結婚式の着付けについて相談したいという時に、普通の着付けしか知らない方は花嫁用の着付けは答えられないということが起きたり、逆に結婚式の着付けはできるけど花嫁の身の回りのお世話はやったことがなくてお手洗い時の対応に答えられなかったりと、困っている方から私のところに問い合わせがくるんですね。人づてに紹介を受けることもありました。せっかく着物を着る機会なのに、不安なまま当日を迎えるというのは嫌だろうなと。それで、「着物専門会社を作ろう!いや、作らなきゃ!!」そう感じたんです。

―求められていたことだったんですね。

そうなのです。フリーランスの時は、例えば、花嫁様がヘアメイク事務所の方と打ち合わせや準備をされる事が多かったのです。そこから当日にバトンタッチ。そうすると、直前までお客様と直で話ができていないため、ワンクッション挟んで伝わりきらないことも。でも、会社を起こしてからはワンストップで直接コミュニケーションがとれるので、準備物や疑問点など、お客様が納得いくまでやり取りができ、スムーズに対応できるようになりました。

―自社で着物に関する全てを対応できるところは大きな強みですね。結婚式以外に、企業イベントや撮影の依頼も多いんですよね?

ええ、おかげさまでたくさんご依頼いただいています。一般ウエディングはもちろん、テレビや映画、舞台、雑誌などの和装監修や所作指導、企業イベントの和装プロデュースなども承っております

―金井さんが大事にしている「こだわり」はありますか?

トータルのバランスが取れているかどうかを大事にしています。もちろん先にお話した「着せるの先の視点」を持つことも大事なのですが、全体のバランス感覚も重要です。着物だけでなく、ヘアメイクなども含めて、その方の頭のてっぺんからつま先まで全身が美しく見えることに気を配っていますね。
そんな総合的な相談ができる存在になることを目指しています。現在はチームとしてサービスを提供できるようになってきたので、このこだわりを根付かせたいですね。

―今後、目指していることはありますか?

「着物を着たい!」という人を増やすことですね。若い方でも、成熟した女性であっても、洋服のファッションと同じ感覚で、着物を身近に取り入れて欲しいです。着物になると髪をアップにしなきゃ、着こなしを考えなきゃと大げさになるかもしれないけど、そのハードルを下げたいです。楽しみながら気軽に着物に触れていって欲しいですね。
あと、最終的には、美意識の高い女性が増えてほしいと願っています。洋服でも、メイクでも、立ち居振る舞いでも、女性として美しくあること、綺麗を追求するということ、そういった美への探究心から着物に対する興味も湧いてくるのではと思うんです。
日常でも大切なシーンでも、さらっと着物を着ようと思えるような、日本女性としての品格や美意識を高めていける活動をしていけたらと思っています。

ライター:ColoR

メッセージ from Yuuko Kanai

着物は難しい、面倒くさいという固定概念は過去のお話です。しっかりと第一線の現場で活躍するプロから学ぶと、実は簡単で明快なのです。「自分で着て出かけたい」「着物が好き」という皆様との交流を深めながら、洋服を着るように軽やかに、楽しく着物を着られる女性へと導きます。 

 

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